「グロースマーケティングって、従来のマーケと何が違うの?」
「ファングロースやECグロースをどう自社の成長に活かせばいいの?」
という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
- グロースマーケティングの基本概念
- 成長を加速させる指標とフレームワーク
- 海外SaaSなどの事例から学ぶ実践的なポイント
の順に解説します。
事業成長を担うマーケティング担当者に役立つ記事です。
ぜひ最後までご覧ください。
グロースマーケティングとは?

グロースマーケティングとは、顧客の行動データを手がかりに、事業の成長を継続的に高めるマーケティングの考え方です。
広告やキャンペーンだけに頼らず、プロダクトとコミュニケーション全体を通じて成長を設計する視点が特徴です。
ビジネスにおけるグロースの定義
ビジネスでいうグロースは、一時的な売上の山ではなく、売上や利用者数が右肩上がりで続く状態を指します。
グロースマーケティングは、新規獲得と既存顧客の活性化を合わせて設計し、ユーザーの行動変化を見ながら施策を積み重ねます。
なぜ今ビジネスをグロースさせることが重要なのか
サブスクリプションやECが広がり、継続利用やリピート購入が売上の中心になりやすくなりました。
一方で獲得単価は高まり、新規だけに投資する運営は採算が合いにくくなっています。
そのため、既存顧客に長く使ってもらい、LTV(顧客生涯価値)を伸ばす発想が欠かせません。
従来のマーケティングやグロースハックとの違い
従来のマーケティングでは、認知や集客の成果に焦点を当てたキャンペーン中心の発想が主流でした。
グロースハックは、A/Bテストや機能改善などプロダクト側の工夫に重心を置きます。
グロースマーケティングはその両方をつなぎ、獲得から継続、紹介までを一つの成長プロセスとして扱います。
持続的な成長に不可欠なプロダクトグロース
プロダクトグロースは、サービスそのものが成長の主役になる状態を目指します。
登録や初回利用のハードルを下げて早く価値に触れてもらい、使うほど便利さが増し、友人にも勧めたくなるような設計を組み込みます。
広告依存を減らし、利用体験そのものが伸びを生む点が特徴です。
LTV最大化に向けたファングロース
ファングロースは、ユーザーを一度きりの購入者ではなく、継続的に応援してくれる存在へと育てる発想です。
満足度の高い体験や一貫したメッセージ、コミュニティでの対話を積み重ね、ブランドへの愛着を深めます。
その結果として、リピートや口コミが増え、LTVが高まりやすい状態を目指します。
グロースマーケティングは、このファングロースを含む全体設計を担います。
グロースマーケティングを成功に導くための要素とフレームワーク

グロースマーケティングを機能させるには、チーム全体が同じ指標を見ながら素早く改善を繰り返す仕組みが必要です。
その土台には行動データ分析とAARRR、ノーススターメトリック、そして実験を回しやすい環境づくりが挙げられます。
顧客の行動データを深く分析する
グロースの起点は、属性ではなく行動データです。
年齢や居住地だけを眺めても、優先すべき打ち手は見えにくくなります。
そこで、ユーザーが「いつ・どこから来て」「どの機能を使い」「どこで離脱したか」を細かく追い掛けます。
初回訪問から会員登録までの流れ、初回購入までに触れたページ数、解約直前のログイン頻度などを比較すると、改善すべきポイントが浮かびやすくなります。
大切な点は、数字だけで判断せず、行動の理由をチームで言語化する流れを整えることです。
インタビューやアンケートなどの定性情報と組み合わせると、仮説の精度が高まりやすくなります。
成長を測る指標AARRRフレームワーク
AARRRは、顧客体験を5つの段階に分けて整理するフレームワークです。
新規流入、初回の価値体験、継続利用、売上発生、紹介という流れに区切り、どの段階に成長の壁があるかを把握します。
この枠組みを使うと、「今期は認知より継続率の改善に集中する」「紹介を増やす前に初回体験を整える」といった優先順位を決めやすくなります。
各フェーズで一つずつ重要指標を決め、ダッシュボードで見える状態にすると、議論も進みやすくなるでしょう。
ノーススターメトリック(North Star Metric)の設計
ノーススターメトリックは、事業の成長と顧客価値を同時に表す最重要指標です。
単なる売上額ではなく、「ユーザーがサービスからどれだけ価値を得たか」を示す数字を選びます。
たとえば、動画サービスなら視聴完了本数、ECならリピート購入者数のように、価値を実感した行動を指標に置きます。
自社の約束したい価値を一文で表現し、それがユーザーの行動として現れる瞬間を数値化すると、一貫性のある指標になりやすくなります。
ノーススターメトリックを決めてから、AARRRの各指標や部署別KPIを紐付ける流れがおすすめです。
高速でPDCAサイクルを回すための環境づくり
優れたアイデアよりも、数多くの実験から学び続ける体制がグロースを支えます。
そのためには、少人数でも試せる粒度で施策を設計し、短いサイクルで検証と振り返りを行う習慣が重要です。
具体的には、週次や隔週で実験案を出すミーティングを設定し、仮説・実施内容・結果・学びをテンプレートに記録します。
マーケ、プロダクト、CSが同じデータを見ながら議論できる場を用意すると、意思決定のスピードも上がります。
グロースマーケティングのポイント

グロースマーケティングで成果を伸ばすには、限られたリソースをどこに集中させるかを決める視点が重要です。
ここでは、特に優先したいポイントを解説します。
獲得よりも「リテンション(継続率)」の改善を優先する
新規の獲得数よりもリテンションの改善に力を入れた方が、売上が安定しやすい状態です。
広告費が高くなりやすい環境では、一回きりの利用で離れてしまうユーザーが多いほど、投資の負担が重くなります。
逆に、継続率が少し高まるだけで、同じ獲得数でもLTVが大きく伸びるでしょう。
最初に見るべきなのは、どのタイミングで利用が止まりやすいかという点です。
登録直後の離脱が多いのか、数回利用したあとなのかなどを分けて把握します。
離脱が多いステップが分かれば、打ち手の優先度を付けやすくなります。
定量データだけでなく「定性データ」も活用する
数字で「何が起きているか」を確認したあとに、声を集めて「なぜそうなったか」を探す流れが重要です。
ユーザーインタビューやアンケートの自由記述、チャットの問い合わせ内容、SNS上のコメントなどは、改善のヒントが多い情報源です。
ただし、単発の声に振り回されないために、共通して現れる表現をグループ分けすると整理しやすくなります。
定量データと定性データの両方を見比べると、優先的に解決したい課題がはっきりするでしょう。
ユーザーが価値を感じる「アハ・モーメント」を特定する
アハ・モーメント(ひらめく瞬間)を特定すると、初期体験の設計が一気に進みやすい設計です。
ユーザーが「このサービスは便利だ」と実感した瞬間を早く迎えてもらうほど、その後の継続率が高まりやすくなります。
まず、長く使っているユーザーの行動履歴をさかのぼり、利用開始からどの行動を経て継続に至ったかを確認します。
ある機能を三回以上使った、合計の利用時間が一定の水準を超えたなど、共通するパターンを探ると有効です。
そのうえで、オンボーディングやメッセージ配信を見直し、アハ・モーメントにつながる行動を早く体験してもらえる導線を設計します。
一斉配信を脱却し「文脈」に合わせたパーソナライズを行う
メルマガやプッシュ通知を全ユーザーに対して同じ内容で届ける方法は、手軽な一方で飽きられやすくなります。
ユーザーごとの文脈に合わせて内容やタイミングを変えるだけでも、反応は大きく変わるでしょう。
文脈の軸としては、登録からの経過日数、直近の利用状況、購入カテゴリ、利用端末などが挙げられます。
たとえば、登録直後のユーザーには基本機能を紹介し、休眠しかけているユーザーには負荷の低い次の一歩を提案する形が有効です。
また、ECでは閲覧履歴や購入履歴に応じたレコメンドを、サブスクリプションサービスでは利用頻度に応じたチュートリアルや活用例を案内します。
小さなセグメントから構わないので、文脈に沿った体験設計を広げる姿勢が重要です。
グロースマーケティングの施策事例

グロースマーケティングを具体的にイメージするには、成功企業の実例を見ると理解が早まります。
このセクションではDropbox、Airbnb、Slackの3社を簡潔に取り上げます。
Dropbox

Dropboxは、クラウドストレージ容量を報酬にした紹介プログラムで大きな成長を実現したサービスです。
既存ユーザーと招待されたユーザーの両方に追加ストレージを付与し、紹介が自然に進む仕組みを作りました。
紹介導線をサインアップや容量上限のタイミングに組み込み、約15か月でユーザー数を10万から400万へ伸ばしたと報告されています。
報酬が「ストレージの追加」というプロダクト価値と一致していた点も、参加のハードルを下げる要因でした。
Airbnb

Airbnbは、個人の空き部屋や住宅を仲介するマーケットプレイスとして、宿泊体験を多様化させたサービスです。
プログラマティックSEOで都市名やエリア名ごとのページを大量に生成し、旅行関連キーワードからのオーガニック流入を拡大させました。
さらに、サイト構造やUIの最適化により、検索流入からスムーズに予約へ進みやすい導線を整えました。
こうした検索流入とレビューの循環が、広告依存を抑えたグロースの土台となったといえるでしょう。
Slack

Slackは、チームのコミュニケーションを効率化するビジネスチャットです。
メール疲れが広がったタイミングをとらえ、限定的なプレビュー提供でプロダクトを磨き、その後は多人数でも使える無料プランを入り口にしたフリーミアム戦略を採用しました。
コンテンツマーケティングや口コミ、創業者のネットワークを活用したPRも組み合わせ、短期間で10億ドル超の評価額に到達しています。
広告よりもプロダクト体験とユーザーの推奨に軸を置いた、プロダクト主導のグロースモデルの代表例です。
まとめ
本記事では、グロースマーケティングの基本と指標設計、事例を通じて、LTVとリテンションを高める視点を整理しました。
グロースマーケティングを実践する際は、データに基づく検証と、顧客との長期的な関係構築を両立させる姿勢がポイントです。
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