インフルエンサー施策を検討する際、以下のような疑問をお持ちではありませんか?
「どのような契約書を交わせば安全なのか?」
「法的に注意すべき点はどこか?」
「報酬支払いやインフルエンサーとの契約書のルールが分からない」
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
- インフルエンサー契約の基本の流れ
- 契約の種類
- 契約書に盛り込むべき必須項目
の順に解説します。
インフルエンサーを起用してマーケティングを行いたい担当者の方に役立つ記事です。
ぜひ最後までご覧ください。
インフルエンサー契約とは?

「インフルエンサー契約」とは、企業が商品の宣伝やブランド認知向上のために、SNS等で影響力を持つ個人(インフルエンサー)に対して業務を委託する際に締結する合意のことです。
単なる「投稿の依頼」に留まらず、制作物の著作権帰属、競合他社の宣伝禁止、ステルスマーケティングの防止といった法的・倫理的ルールを明確に定める役割を果たします。
特に商習慣の異なる海外案件では、曖昧な口約束は深刻なトラブルに直結するため、書面による契約がビジネスの「大前提」となります。
インフルエンサー契約にはどんな種類がある?よく間違われる種類を比較!

インフルエンサーとの提携と一口に言っても、その契約形態は目的によって多岐にわたります。
形態の選択を誤ると、期待した成果が得られないばかりか、予期せぬ法的リスクを抱えることにもなりかねません。
ここでは、特によく混同されやすい3つの区分について比較・解説します。
| 比較軸 | 種類 | 主な特徴・メリット |
|---|---|---|
| 期間 | スポット契約 / 長期契約 | 単発の勢いづくりか、継続的なファン形成か。 |
| 法的性質 | 業務委託契約 / 雇用契約 | 指揮命令権の有無と、労働法適用の有無。 |
| 報酬体系 | 固定 / 成功報酬 / ハイブリッド | 予算の確定しやすさと、成果への動機付け。 |
スポット契約と長期契約の違い
「スポット契約」は、特定の商品発売時やイベントに合わせて1回〜数回程度の投稿を依頼する形態です。
短期間で認知を広げるのに向いていますが、関係が一時的なためブランドへの深い理解は得にくい傾向にあります。
一方、「長期契約」はアンバサダー契約とも呼ばれ、数ヶ月から1年単位で継続的に発信を依頼します。
投稿を重ねることでフォロワーからの信頼度が高まり、より深いファン形成(エンゲージメント)が期待できます。
業務委託契約と雇用契約の違い
インフルエンサーとの契約は、一般的に「業務委託契約」となります。
これは、対等な立場で特定の業務(投稿など)を依頼するもので、企業側に細かい「指揮命令権」はありません。
これに対し「雇用契約」は、企業の従業員として拘束し、業務の進め方を細かく指示する形態です。
インフルエンサーを社員として採用しない限り雇用契約になることは稀ですが、実態として過度な拘束や指示を行ってしまうと、偽装請負とみなされるリスクがあるため、あくまで「成果物や活動」に対する委託であることを明確にする必要があります。
成功報酬型・固定報酬型・ハイブリット型の違い
「固定報酬型」は、投稿1件あたり、あるいはフォロワー単価で金額を決める最も一般的な方法です。
予算管理がしやすい反面、投稿後の売上にかかわらず費用が発生します。
「成功報酬型」は、投稿経由で商品が売れた場合にのみ、売上の数パーセントを支払う形式(アフィリエイト形式)です。
企業側のリスクは低いですが、影響力の強いインフルエンサーほど、確実な収益が見込めないこの形式を避ける傾向にあります。
最近増えているのが、最低限の固定費を支払い、成果に応じてボーナスを上乗せする「ハイブリッド型」です。
これにより、インフルエンサーのモチベーションを維持しつつ、企業もリスクを分散しながら質の高いプロモーションを展開することが可能になります。
インフルエンサー契約の流れとは?

インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、正しい手順で契約まで進めることが重要です。
インフルエンサー選定
まずは、ブランドのターゲット層と親和性の高い人物を探し出す「選定」から始まります。
インフルエンサーマッチングプラットフォームから依頼
効率性を重視する場合、専用のプラットフォームを活用する方法があります。
膨大なデータベースから、フォロワーの属性や過去のエンゲージメント実績を数値で比較できるため、自社に最適な人物を客観的に選定できます。
プラットフォーム上で契約管理まで完結できるケースも多く、工数削減に繋がります。
インフルエンサーキャスティング会社へ依頼
現地のトレンドや特有の商習慣に精通した専門会社に依頼する手法です。
候補の提案から交渉、契約の仲介までを一任できるため、社内にノウハウが不足している場合や、言語の壁が厚い国での施策に有効です。
インフルエンサー本人へ直接依頼
起用したいインフルエンサーが特定で決まっている場合、インフルエンサー本人に直接依頼するのも一つの方法です。
SNSのダイレクトメッセージなどを通じ、直接コンタクトを取ります。
仲介手数料がかからないメリットはありますが、契約書の作成や条件交渉を全て自社で行う必要があり、特に海外相手では法的なリスク管理の難易度が高まります。
アポイントメント・交渉
選定した候補に対し、企画概要、投稿時期、予算感を提示して打診します。
この段階で、投稿の「二次利用(広告などへの転用)」が可能か、他社案件との兼ね合いはどうなっているかなど、契約の骨子となる条件をすり合わせておくことが、インフルエンサー契約書の作成をスムーズにします。
契約
交渉で合意した内容を契約書に落とし込みます。
双方が内容を確認し、署名(または電子署名)を行うことで、初めて法的拘束力のある関係が成立します。
インフルエンサー契約に必要な記載事項とは?

トラブルを未然に防ぐため、以下の項目は必ず含めるようにしましょう。
業務内容
「SNSに投稿する」という曖昧な表現ではなく、プラットフォーム名、投稿回数、指定ハッシュタグ、動画の長さ、リンク設置の有無などを具体的に定義します。
また、投稿前の「下書き確認(プレビュー)」の回数についても明記が必要です。
契約期間
プロモーションの実施期間だけでなく、投稿したコンテンツをいつまで公開し続ける必要があるのか(例:投稿後6ヶ月間は削除禁止)を定めます。
報酬・支払い条件
固定報酬か成果報酬か、源泉徴収の有無、支払期日を明確にします。
海外送金の場合は、為替手数料や送金手数料をどちらが負担するかも決めておくべきです。
経費の負担
商品の配送費、撮影に伴う交通費や宿泊費、小道具代など、報酬以外に発生する費用の負担区分を定めます。
秘密保持
キャンペーンの公開前の情報や、提供したサンプル品の仕様、契約金額などが外部に漏れないよう厳格に定めます。
競業避止義務
契約期間中および終了後の一定期間、競合他社の類似商品の宣伝を禁止する条項です。
ブランドの世界観を守るために不可欠ですが、期間が長すぎると合意が得られないこともあるため、適切な設定が必要です。
禁止事項・コンプライアンス
公序良俗に反する行為や、過去の不祥事がないことの保証、ステルスマーケティング(PR表記の欠如)の禁止などを盛り込みます。
これは企業のレピュテーションリスクを守るための防波堤となります。
知的財産・秘密保持
制作された写真や動画の著作権がどちらに帰属するかを定めます。
企業側が自社サイトや広告で二次利用したい場合は、あらかじめその権利範囲を契約に含める必要があります。
プロモーションの契約書に必要な記載事項は?

プロモーションの契約書は、特定の商品やサービスの販売促進を目的とした業務委託契約であり、その実態はインフルエンサーの契約書の内容とほとんど同じです。
どちらの名称であっても、以下の8項目が網羅されているかチェックしてください。
- 「契約の目的」:何のためにこの連携を行うのか
- 「委託業務の内容」:具体的な活動内容
- 「報酬と支払方法」:金額とタイミング
- 「成果物の著作権・使用権」:コンテンツの所有権
- 「秘密保持義務」:情報の取り扱い
- 「禁止事項」:やってはいけない行為
- 「契約期間・解約条件」:期間と途中解約のルール
- 「損害賠償・責任」:トラブル時の補償
特に「成果物の使用権」については、契約終了後も企業のSNSアーカイブとして残せるかどうかなど、将来的なトラブルを避けるために細かく指定しましょう。
インフルエンサー契約を行う際の注意点

インフルエンサーの下請法とは?
日本国内の法人として発注する場合、下請法への適用を無視できません。
インフルエンサーが個人事業主であり、貴社の資本金が一定額を超える場合、下請法が適用されます。
この場合、発注内容を記した書面の即時交付や、受領から60日以内の支払いが義務付けられます。
請求書の注意点とは?
海外のインフルエンサーから受け取るインフルエンサーへの請求書についても、事前に指定のフォーマット(インボイス形式)を共有しておくことで、社内経理での「支払い遅延」というトラブルを防ぐことができます。
まとめ
インフルエンサー契約は、単なる事務手続きではなく、海外マーケティングを成功させるために、安全を守るものです。
適切なインフルエンサーとの契約書の内容や、明確に契約の内容を提示することによって、双方の認識のずれをなくすことが雪花として質のいいコンテンツ・マーケティングにつながります。
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