「SNS分析を始めたいけれど、定義や進め方が分からない」
「実際の成功事例や無料での始め方、レポート化のコツを知りたい」
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
- SNS分析の定義と重要性
- 成功事例5選
- やり方、レポート化、無料&有料ツール活用
の順に解説します。マーケ担当者や事業責任者の意思決定に役立つ内容を紹介します。
SNS分析とは

SNS分析は、X(旧Twitter)やInstagram、YouTube、TikTokに散在する投稿・反応データを収集し、可視化と解釈を通じて事業の意思決定に結び付ける取り組みです。
自社・競合・市場の会話量や感情、拡散経路を把握して、商品開発や広告運用、リスク管理へ反映します。
ソーシャルリスニングを核に、ダッシュボードと定例レポートを組み合わせると、学習の速度を高められます。
SNS分析が重要な理由
SNSは主要な情報接点となり、評価や不満がリアルタイムに出てきます。
国内利用は高水準で、生活者の発話が意思決定の重要な材料になります。
だからこそ、話題の増減やセンチメントの変化を常時監視し、機会の最大化と炎上リスクの最小化を図る体制が必要です。
SNS分析では、短期の評判変動だけでなく、季節性やキャンペーン影響も時系列で読み解けるため、予兆の把握と先回りの打ち手が可能になります。
SNS分析で達成できる主な目的
SNS分析で達成できることは以下が挙げられます。
- ブランド健全性の把握
- 顧客理解の深化
- 施策の最適化
- 商品・CX改善
結果を「気づき→仮説→打ち手→検証」に落とし込み、共有しやすいダッシュボードで継続運用すると、再現性のある改善サイクルを築けます。
さらに、競合比較やインフルエンサーの波及を捉えることで、投資配分の最適化やリスクの早期是正につながります。
目的とKPIを接続し、アクションプランに落とす姿勢がポイントです。
SNS分析に成功した企業の事例5選

ここからは、SNS分析に取り組み、改善の結果、成功した企業の事例を紹介します。
各企業の施策や取り組みを参考にしましょう。
資生堂ジャパン
資生堂ジャパンはツールを導入し、各ブランドのKGIに基づくデジタルKPIを統一しました。
年2回だった報告を月次化し、リアルタイムのダッシュボードで自動集計と共有を実現しています。
運用の迅速化により、オウンドアカウント総合パフォーマンスは前年比+244%、UGCは+406%を記録しました。
特にUGCや自然発生のバズを生むインフルエンサーを特定する専用ダッシュボードを構築し、次回施策の企画段階からデータで検証できるようにしました。
参考:資生堂ジャパン、自社メディアアカウント全体のパフォーマンスを244%向上
日本航空
日本航空(JAL)は2017年にツールを導入し、BI(ビジネス・インテリジェンス)と連携してSNSデータを日次で可視化しています。
Xでは1日約5,000件のデータをダウンロードし、自社・他社の投稿をそれぞれ約1,500件ずつ目視で確認します。
重要度の高い約300件はHTML形式の日報で即時に共有しました。
顧客の指摘を受けた広告表現は当日に停止し、ラウンジ備品の改善にもつなげています。
日報と週報の運用により、全社で「声を観る」文化を醸成しています。
週報には概況コメントを添えてグループ各社へ展開し、現場改善とリスク管理を一体で進めている事例です。
参考:BI ツール連携とリアルタイムでの投稿情報の分析・即時社内共有により、全社的なソーシャルリスニング文化を醸成
ファミリーマート
ファミリーマートは既存ツールから新たなツールに切り替え、Xの全量データ取得と使いやすいUIを条件に採用しました。
ノイズ除去で分析精度を高め、リアルタイム監視でUGCの価値を社内に可視化し、キャンペーン反応の要因特定を迅速化しています。
定例レポートで施策効果を共有し、改善に結び付けています。
加えて、フラッペの口コミがネットニュース化した局面でも要因を迅速に特定し、UGCの量と質を継続的にモニタリングして施策へ還元する体制を整えました。
参考:Quid Monitorで、ソーシャルリスニングの重要性を社内に発信。リアルタイムなデータ取得により、施策の効果を明確化。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行もツールの切り替えでSNS分析に成功しました。
リアルタイム取得とノイズ除去、過去データの遡及を強化して分析精度と効率を高めています。
ダッシュボードで資料作成時間を約1/3に短縮し、イベント時はアラートで即時に社内共有しています。
SNSの声を起点にFAQ整備など具体的なサービス改善へつなげ、顧客体験の向上を着実に進めました。
さらに、トピックチューナーや除外キーワードの活用で無関係投稿を抑え、メール通知のアラート条件をTDSEとともに精緻化しながら即応性を一段と高める計画です。
参考:SNSのお客さまの声から商品・サービスの改善へ。Quid Monitorでデータ分析の時間を大幅に短縮。
TOTO
TOTOは、ブランド名がサッカーくじなどと同名でノイズが多い課題に対し、ツールの切り替えて定性分析に最適化し、除外語の運用で精度を高めました。
週1回の定例検索から20〜30件を要約付きで週報化し、実際は5〜7倍の投稿を確認します。
今後も運用効率を引き上げ、今後は動画・画像解析の活用も見据えています。
参考:ソーシャルリスニングのノイズを減らし精度を高めることで効果的なSNS運用
SNS分析の具体的なやり方

ここからは、SNS分析の具体的なやり方を手順に従って解説していきます。
1つずつ着実に実践していきましょう。
ステップ①:分析の目的(KGI/KPI)を明確にする
まずは、最終成果(売上・来店・問い合わせなど)から逆算し、中間KPI(到達、エンゲージメント、クリック、ブランドリフトなど)を整理します。
そして、媒体ごとの定義差を踏まえてKPIを標準化し、KGIツリー上の位置づけを明確にします。
意思決定の頻度を想定し、週次・月次で見直す運用も決めましょう。
ステップ②:調査対象のキーワードやアカウントを設定する
次にブランド名、商品名、キャンペーン名、競合、一般語、誤記・略称、関連ハッシュタグを広く列挙し、ノイズの傾向を見ながら除外語を設定していきます。
そして、公式アカウントとUGCを両輪で集め、取得範囲や期間、言語、地域を定義します。
炎上やイベント検知に備え、アラート条件をこの段で仮置きしてみてください。
ステップ③:データを収集・整理する
各プラットフォームの規約に沿って収集し、媒体・期間・粒度を正規化します。
ダッシュボードに発話量推移、センチメント、話題クラスター、拡散経路、インフルエンサーを配置し、閾値とアラートで異常を検知しましょう。
スパムやボットの除去、重複統合、言語の正規化などデータクレンジングも習慣化します。
ステップ④:分析からインサイトを抽出して施策に繋げる
結果を「気づき→仮説→打ち手→期待効果→検証方法」に落とし込みます。
特定表現が購買意向と相関するなら、同文脈のクリエイティブやLP訴求を強化します。
勝ち筋はA/Bテストで検証し、媒体横断で再現性を確認しましょう。
学習は定例レポートで共有し、KGI/KPIに直結するアクションへつなげます。
意思決定にも繋がるSNS分析レポートを作成するコツ

レポートは、関係者が次の一手を決めて動けるようにするための道具です。
作成者は最初に結論と根拠を簡潔に示し、読む人(経営・現場・制作)ごとに知りたい深さを変えます。
ここでは、SNS分析レポートを効果的に作成するコツを解説します。
レポート作成の目的と基本構成を把握する
SNS分析レポートの基本構成は以下のとおりです。
- サマリー(要約)
- 調査概要(いつ・何を・どう集めたか)
- 分析結果(事実)
- 考察(解釈)
- ネクストアクション(次にやること)
各章は1枚1メッセージを意識し、図と本文を近くに置いて参照しやすくしましょう。
データを可視化するグラフの効果的な使い方を実践する
データの推移は折れ線、比較は棒、内訳は円といった具合に可視化しましょう。
異常値やイベントは注釈で示し、KPI(評価指標)の式は脚注に書きます。
媒体ごとの定義差は「到達」「エンゲージメント率」など共通指標にそろえ、同じ土俵で比較しましょう。
分析の「結果」と「考察」は分けて記載する
SNS分析の結果は観測した事実、考察は理由の仮説として分けます。
次の打ち手は「対象/狙い/施策内容/予算/担当者/期限/測り方」をセットで記し、承認後にすぐ実行できる形に整えます。
成功条件と閾値(例:エンゲージメント率+0.5pt)も併記し、週次会議など継続確認の場を明示してみてください。
SNS分析を効率化する方法

SNS分析を効率化するにはさまざまな方法が考えられます。
ここからは、無料ツールやExcelの活用などについて解説していきます。
個人でも始めやすい無料のSNS分析ツールを活用する
まずはSNSの公式で利用できる無料機能を活用したり、外部の無料ツールを利用したりして分析のやり方を習得する方法があります。
最初は公式機能で基礎KPI(到達、エンゲージメント、視聴維持など)を押さえ、量や質、投稿内容の現状を分析してみましょう。
各SNS公式の分析機能
Instagramインサイト、Xの高度な検索、YouTubeアナリティクス、TikTok Insightsを使い、媒体ごとの定義差を理解したうえで共通指標に正規化して比較します。
アラート代わりに定点チェックの曜日・時刻も決めてみてください。
外部の無料ツール
各SNS公式の分析機能と、投稿量推移や簡易センチメントを把握できる無料サービスを併用し、仮説検証を素早く回します。
足りない粒度や履歴期間が課題になったら、有料版の導入を判断しましょう。
本格的な分析を可能にする有料ツール
有料のSNS分析ツールは、主要プラットフォームの大規模収集や履歴の遡及、除外語・ボット排除、アラート、自動レポート、共有ダッシュボードなどにより、部門横断の可視化とノウハウ共有を加速できます。
導入時はSLAや権限設計を整え、KPIと検証会議体を定義しつつ導入後90日で到達すべき運用目標(例:定点監視の整備や週報テンプレ運用率の向上)を設定すると定着が進むでしょう。
エクセルを活用した簡易的な分析も可能
エクセルならCSVを読み込み、媒体や期間、指標を縦横に並べた集計表にまとめられます。
移動平均で日々のブレをならし、キャンペーン開始などの注釈を付ければ、傾向と要因を把握できます。
レポートは冒頭に「結論・示唆(データからわかること)・次の打ち手」を置き、担当者と期限、確認指標も明記します。
データ持ち出しと権限のルールを定め、月1回の点検を回せば、簡易でも意思決定に使える分析になります。
まとめ
本記事では、SNS分析の定義と重要性、成功事例、やり方からレポート化、効率化までを解説しました。
重要なのは目的に直結する指標を定め、一次データを正しく解釈し、得た内容を素早く仮説・施策・検証のループに乗せ続けることです。
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