台湾のSNS規制は厳しい?Facebookなどの利用実態まで解説

「台湾のSNS規制はどれくらい厳しいのか?」
「FacebookやTikTokは日本と同じように使えるのか?」

と悩んでいませんか?

台湾のネット事情を理解すると、越境マーケティングや情報収集の判断がしやすくなります。

本記事では、

  • 台湾のSNS規制と詐欺対策の概要
  • 主要SNSの利用率とユーザー像
  • 台湾ならではのオタク文化とSNS、企業が注意したい法規制

の順で解説します。

台湾向けSNS施策を検討する方に役立つ内容です。ぜひ参考にしてください。

台湾のSNS規制の現状と最新の詐欺対策法

台湾のSNS環境は、全体として自由度が高い一方で、詐欺対策や安全保障の観点からポイントを絞った規制が導入されている状態です。

中国本土や香港のような包括的検閲ではなく、「自由を維持しながらリスクを抑える」方向に進んでいると言えます。

「ネット検閲なし」は本当か?中国や香港のSNS規制との違い

まずは台湾のネット検閲について解説します。

台湾のインターネットの自由度や政治的背景

台湾では、FacebookやX、YouTubeなど主要な海外SNSに原則自由にアクセスできます。

中国本土のような大規模なアクセス遮断システムは採用されておらず、国際的なインターネット自由度指標でも高い評価を得ています。

民主主義を重んじる一方で、中国からのサイバー攻撃や偽情報には敏感であり、政府はオンライン上の安全保障対策を強化しています。

香港のSNS規制強化が台湾に与える心理的影響

香港で国家安全維持法によりSNS上の発言が制約を受けている状況は、台湾にとって「自由を守るべき対象」を意識させる要因となっており、同様の統制を避けたいという世論を後押ししています。

2024年施行の「詐欺犯罪危害防制条例」

ここでは、2024年に施行された条例について解説します。

TikTokやFacebook等のプラットフォームへの法的義務

投資詐欺広告の増加を受け、2024年には「詐欺犯罪危害防制条例」を含む打詐新四法が整備されました。

これによりMetaやGoogle、TikTokなど大規模プラットフォームには、詐欺広告の防止計画や透明性レポートの提出といった義務が課されています。

広告主の実在性を確認する本人確認プロセスや、詐欺が疑われる広告を短時間で削除する体制も求められ、なりすましや架空投資案件への対策が強化されています。

参考:TAIWAN LEGAL UPDATE

違反時の罰則と広告出稿への影響

プラットフォーム側が義務を怠ると、高額の行政罰や一部サービスの制限といった措置を受ける可能性があります。

広告主にとっても、虚偽・誇大な勧誘は金融規制や消費者保護法の対象となるため、台湾向け広告では投資リターンや保証を強くうたう表現に注意が必要になります。

公的機関におけるTikTok利用禁止措置の現状

一般ユーザーによるTikTok利用は現時点で全面禁止ではありませんが、公的機関や公営企業の公用端末では利用禁止となっています。

政府はTikTokを情報セキュリティ上のリスクが高いアプリとみなし、2022年以降、官公庁ネットワークから排除しました。

参考:台湾、公共部門のデバイスからTikTokを禁止

台湾SNS利用率と主要アプリのシェア

台湾でSNSを活用するには、どのアプリがどの程度使われているかを押さえる必要があります。

ここでは、主要SNSのシェアと役割を解説します。

最新の台湾SNSランキングと普及しているアプリ

台湾のインターネット利用率は9割を超え、SNS利用者も人口の約8割に達すると報告されています。

よく使われるSNSはYouTube、LINE、Facebook、Instagramが中心で、TikTokやX、ローカル系サービスがそれに続きます。

動画視聴はYouTube、日常連絡はLINE、コミュニティ運営と広告配信はFacebook、ビジュアル重視の情報収集はInstagramという役割分担が定着しています。

参考:デジタル2025:台湾

台湾人のFacebook利用率はなぜ高いのか

日本では若年層を中心にFacebook離れが進んでいますが、台湾ではいまもSNSインフラとして根強い存在です。

成人人口のかなりの割合がFacebookアカウントを持つとされ、利用率は依然高水準です。

背景には、コミュニティ文化の強さがあります。

学校ごとの同窓会グループや趣味サークル、地域コミュニティなど、多くのグループがFacebook上で運営されます。

また、小規模ビジネスや個人ショップがFacebookページを「ミニ公式サイト」として活用しており、営業時間の確認やメッセンジャーでの問い合わせが日常的に行われます。

参考:ソーシャルメディア統計(台湾)

台湾におけるWeChatの利用シーンとユーザー層

中国系メッセージアプリのWeChatは、台湾では一般的な連絡手段というより、対中ビジネスや家族関係がある人に利用が集中します。

中国本土の親族やパートナー企業との連絡、越境ECや仕入れのやり取りなどが代表的な利用シーンです。

InstagramとYouTubeの併用状況とトレンド

若年層では、店舗や商品の検索をGoogleではなくInstagramやYouTubeで行う行動が増えています。

ハッシュタグ検索やショート動画でレビューを確認してから、購入や来店を決める流れが一般的になりつつあります。

InstagramのReelsやYouTube Shortsなど縦型短尺動画の視聴時間も増加傾向です。

台湾のオタク文化と親和性の高いSNS

台湾では日本のアニメやマンガ、ゲームが広く親しまれ、SNS上のファンコミュニティも活発です。

日本語情報を追いかけながら翻訳・共有する動きも多く、独特のネット文化が形成されています。

台湾SNSオタク層の活動実態と情報収集源

オタク層は、日本の公式サイトやX、YouTubeを日本語のままチェックし、気になる情報を自ら翻訳してSNSでまとめて発信することがよくあります。

イベント情報や新作グッズの話題は、FacebookグループやPlurk、Dcardで共有され、そこからInstagramやXに広がる流れが主流です。

SNSはレビューや現地写真を蓄えた非公式データベースのような役割を担います。

台湾でのXの普及度と利用目的

全体のシェアで見ると、台湾におけるX(旧Twitter)の利用率はFacebookやInstagramほど高くありませんが、日本のトレンドを追うオタク層や親日派にとっては欠かせない情報収集ツールです。

アニメ放送中の実況やイベントのレポート、クリエイターの投稿をリアルタイムで追えるため、「日本とほぼ同時に盛り上がれる場所」という位置づけになっています。

台湾で独自の進化を遂げたSNSのPlurkとは

ここからは台湾で利用されているPlurk(プルーク)について紹介します。

Plurkの機能特徴とユーザー属性

Plurkは台湾を拠点とするマイクロブログサービスで、横に流れるタイムラインや「カルマ」と呼ばれるスコア機能が特徴です。

短文を次々に投稿し、コメント欄で会話を重ねるスタイルが中心で、台湾では人気の高いサービスとして知られています。

ユーザーにはアニメやゲームのファン、同人クリエイター、政治に関心のある人が多く、日常のつぶやきと創作活動、社会問題の議論が同じ場で交わされます。

同人・クリエイター界隈での重要性

同人イベントやオンライン頒布の告知において、Plurkは重要な連絡網です。

新刊の進捗報告やサンプル公開、イベント当日の配置情報などが素早く共有されます。

作品そのものはpixivなどに投稿し、告知や交流はPlurkで行うスタイルも一般的で、同人界隈では「作品サイト+Plurk」という組み合わせが一つの定番になっています。

掲示板PTTとDcardの影響力

台湾のオンライン世論を語るうえで、巨大掲示板PTTと若年層向けコミュニティDcardは外せません。

PTTは1990年代から続くテキスト掲示板で、政治からエンタメまで幅広いテーマが議論されます。

Dcardは大学生や若手社会人に人気の匿名SNSで、恋愛や就活、サブカルチャーまで多様なトピックが語られます。

若い世代の本音を把握する場として注目されており、オタク系のトピックも頻繁にスレッド化されます。

参考:PTT

企業が台湾進出する際のSNSに関する法的リスクや運用ルール

台湾向けにSNSマーケティングを行う企業は、日本と同じ感覚で広告やインフルエンサー施策を展開すると、予想外の法的リスクを抱えるおそれがあります。

ここでは、特に影響が大きいポイントを整理します。

「打詐新四法」施行後の広告運用と本人確認

台湾では投資詐欺対策として「詐欺犯罪危害防制条例」を含む打詐新四法が成立し、オンライン広告プラットフォームに厳格な義務が課されています。

大手プラットフォームは、詐欺広告の防止計画を策定し、透明性レポートを政府に提出することが求められます。

実務では、Facebook広告などを出稿する企業に対し、広告主の身元確認や代表者情報の提出を求めるケースが増えています。

日本企業であっても、登記情報や連絡窓口の提出など、KYC手続きへの対応が必要になる場合があります。

インフルエンサー施策におけるステマ規制

インフルエンサーマーケティングに関しては、公平交易委員会(FTC)がオンライン広告処理原則を改正し、インフルエンサーやライブ配信者も広告主と同様に規制対象であると明示しました。

金銭や商品の提供がある投稿では、「広告」「協賛」など、対価が発生している事実を分かりやすく表示する必要があります。

表示が不十分で消費者を誤解させた場合、インフルエンサーだけでなく広告主も、虚偽・誇大広告として処分対象になる可能性があります。

参考:FTC、オンライン広告案件処理の原則を改正しインフルエンサーマーケティングを規制対象に
参考:ソーシャル メディアのインフルエンサーはパートナーシップを公開する必要がありますか?

健康食品や化粧品における表現規制の厳しさ

健康食品やサプリメント、化粧品の広告規制は、日本以上に厳しいと感じられる場面があります。

台湾FDAは、医療効果をうたう虚偽・誇大広告に対する罰金を引き上げており、違反した場合は数十万〜数百万元レベルの行政罰が科される可能性があります。

化粧品についても「化粧品衛生安全管理法」に基づき、シミが消える、必ず痩せるなど、医薬品的な効能を連想させる表現は厳しくチェックされます。

台湾向けに美容・健康系商材をSNSで訴求する場合は、「使用感の紹介」や「ライフスタイルの提案」を中心にし、効果を断定する表現を避ける運用が安全です。

参考:FDA、虚偽の食品広告に対する罰金を引き上げ
参考:TFDA、食品広告違反に対する罰則を強化

まとめ

台湾のSNSは自由度が高く、YouTubeやFacebook、Instagram、Plurk、PTTなど多様なサービスが共存しています。

一方で、打詐新四法やインフルエンサー規制、健康・美容系広告への厳しいチェックなど、法的リスクへの配慮も欠かせません。

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